防波堤

昧爽どきを通り抜けてたら

着陸ルート

夏が終わり、秋が過ぎ、もう冬になる。家で仕事をする生活に飽き飽きしつつも、もう元の生活には戻れないくらい馴染んでしまった。春先の暇っぷりを考えるとありがたいほどに仕事の量は増えてきて、かなり忙しい日々を過ごしている。

部屋の断捨離と模様替えをした。こんなにモノを捨てたのは一人暮らし8年目にして初めて。3月から今までずっとローテーブルに座椅子で仕事をしていたのだけれど、ついに腰や肩、膝までもが悲鳴を上げ始めた。このままではいけない。在宅環境を整えるべく、まずは物を捨てなければと重くて痛い腰を上げた。

まずは服。45リットルのビニール9袋ぶんの服や靴を捨てた。これだけものを捨てたというのにまだまだクローゼットの中はパンパンで、逆に今までどうやって仕舞い込んでいたのだろうと考えてしまうほどだった。なんなら、まだあと2袋くらいは捨てられるのではないかと思っているが、来年の夏着るものが無くなる気がしてやめた。

家具もガラステーブル、スタンドミラー、ポールハンガー を処分した。これは自分で粗大ごみに出すことを考えたが、ガラステーブルをどう考えても階下のゴミ捨て場まで安全に運ぶ自信がなかったため、業者にお願いした。なかなか高くついたが、親切な業者だったためパッケージの範囲内でサービスすると言って、玄関に置いていた↑の断舎離した服のゴミ袋もついでにいくつか引き取ってくれた。

そして地味にかさばっていた本、CD、DVD。本当に取っておきたいものを除いて、すべてブックオフに引き取ってもらった。気に入って買った本との別れは惜しく、あれこれ読み返したりと時間を奪われる作業だった。とはいえ最近はほぼ電子書籍で本を読んでいるので、また読みたくなったら電子書籍で買うことにした。ほとんどお金にはならなかったものの、これも自分でゴミ捨て場に持っていくよりは随分手間が省けたのでよしとする。

空いたスペースにはデスクと椅子を追加した。1K6畳の定めかもしれないけれど随分と物が減らしたというのに、それだけで部屋はパンパンになった。ついでにベッドの位置も変えて、何度も何度も掃除機をかけて、ついでにコンロの周りや、ユニットバスの洗面台、洗濯機の下なんかも掃除して、季節外れの大掃除が終わった頃には、なんだか気持ちも軽くなっていた。新しい椅子に座り、正しい姿勢で仕事をするようになったら、随分と身体的疲労も楽になった。もっと早くやっておけばこんなに全身傷めることはなかったかもとは思ったが、過ぎてしまった時間は仕方ない。

目に入る景色も随分変わった。机の高さも、向きも全て変わったので、今は窓の外がよく見える。わが家の真上は羽田空港への着陸ルートにあるらしく、午後のあいだ、しばしば高度低めの飛行機が家の側を飛んでいく。大きなエンジン音が聞こえるたびに窓に目を向けて、目的地まであと少しの飛行機を見送っては、いい景色だなあとしみじみしている。